意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

「……え?」
声にならない声が喉に引っかかる。

『名目は友好のための婚姻です。
でも、誰の目にも明らかです。
兄上は、自分が支配するうえで、
聡明で、国民にも人気のある姉上が邪魔だった。』

視界が滲む。

『だから、真っ先に追い払ったんです。
ラジワ姉さまの婚姻も、絶対に同じです。
皇太子就任に有利な“カード”になるから。
母の違う他の皇女では、
自分の後ろ盾にならない。
だから――姉さまが選ばれた。』

「……っ」
震える指で、手紙を握りしめる。
(お姉様が……)
(あれほど、美しくて、聡明で、
 帝国の誇りだった人が……)

辺境の小国。
候妃。
――どの皇女よりも格下の嫁ぎ先。

(……あんまりだわ)
胸の奥から、
熱いものがこみ上げる。
(姉の人生を、妹の人生を――)
(自分の都合で、切り捨てるなんて……)

ぐしゃり、と紙が音を立てる。
ラジワは、
唇を噛みしめた。
声を出したら崩れてしまう。

だから。
声を押し殺して、
ただ、涙を流す。
一滴。また一滴。

太陽の国の光が床に落ちる。
その中で、
皇女は――静かに泣いていた。

(……お姉様)
(私たち、どちらも駒だったのね)
(あの人の――)
クレオールという名の、
血を分けたはずの冷たい王の。