意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

それは、
よく晴れた午後だった。

ソラリスの光は、
帝国よりも少しだけ柔らかく、
どこか無邪気だ。

そんな光の中で――
ラジワは、一通の手紙を受け取った。

差出人:ビンセント
(……久しぶりね)
胸の奥が、
ほんのわずかに温む。

封を切り、読み進める。

『姉さま。
ソラリス王国での暮らしには、もう慣れましたか。
王太子殿下は、姉さまに優しくしてくれていますか。
僕は姉さまが元気でいてくれたら、
それでいい。』

懐かしい弟の筆跡。
少し生意気で、
でも不器用な優しさ。
(相変わらずね、ビンセント……)

ラジワは、
微かに笑いかけて――
次の行で、その笑みを失った。

『兄上――クレオールが、
正式に皇太子に就任しました。
陛下は老齢を理由に、
実権の多くを兄上へ譲られています。』

指先が、
ぴくりと震える。
(……やっぱり)
嫌な予感はいつも当たるものだ。

『それから――姉さま、聞いてほしい。
ファティマ姉上が、
辺境の小国へ嫁がされました。』
――その行を読んだ瞬間、
世界が止まった。