意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

第一の策:冷淡作戦

その日の午後。
庭園で偶然を装って再会したアウレリオに、
ラジワは完璧な“王太子妃の仮面”をかぶった。

「ごきげんよう、王太子殿下」
声は冷静。
表情は澄ました微笑み。

「本日はお忙しいでしょうから、
 ご一緒する時間は必要ありませんわ」
――どう?
この距離感。
この突き放し。

(動揺しなさい……!)

しかし。
「そうか」
アウレリオは少しも慌てず、
むしろ安心したように頷いた。

「君がそう言うなら、無理に引き止めはしない」

(……え?)

「最近、少し疲れているように見えたからな。
 お互い、一人の時間も大切だ」

そして――
柔らかく微笑う。
「気遣ってくれてありがとう、ラジワ」

(え、ちが……)
感謝された。
拍子抜けするほど、
あっさり。
(な、なんで効かないのよ……!)