意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

しばらく葛藤した末。

ラジワは、
ゆっくりと身を起こした。

アウレリオの背中。
広くて、静かで、
微動だにしない。

(……もう、知らない)
えい、と。
ラジワは背を向けたままの彼に、
ぎゅっと抱きついた。

――言葉は、ない。
ただ、
腕を回してしがみつく。
(これ以上は……無理……)

一瞬。
そして、
アウレリオの身体がわずかに揺れた。

「……やれやれ」
低く、呆れたような声。

だが。
次の瞬間、
彼の腕が、迷いなくラジワを包み込む。
しっかりと。
だが、優しく。

「俺の妻は強情なお姫様だな」

そう言って、
彼はラジワの頭をそっと撫でた。
髪を壊さないように。
子どもをあやすみたいに。

「……うるさい」
ラジワは、
ぶつぶつと文句を言いながら、
彼の胸に顔を埋める。

(……ずるい)
(こんなの……安心するに決まってるじゃない……)
心臓の音。
体温。
包み込む腕。

ラジワを支配していた緊張が、
すうっと溶けていく。

「……離しなさいよ」
そう言いながら、
腕は緩まらない。

数分後。
ラジワの呼吸は、
すっかり眠りのものになっていた。