意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

ラジワの胸に、
焦りと苛立ちと、
そして――悔しさが一気に湧き上がる。

(また、その顔……!)
(余裕ぶって……!)

「……それって」
ラジワは、思わず言い返す。
「私が、お願いするまで待つってこと?」

アウレリオはあっさり頷いた。
「ああ」

即答。
「君が、俺を必要だと思うまで」

(……っ)
胸がぎゅっと締め付けられる。
(この人……絶対、わかってて言ってる)

策士。
完全に、策士だ。
――拒まれているわけじゃない。
――突き放されてもいない。
ただ、選ばせている。

「……ずるいわ」
ラジワはぽつりと零した。

アウレリオは、初めて、
少し驚いた顔をする。
「そうか?」
「そうよ……」
ラジワは視線を逸らしながら、
小さく拳を握る。
(こんなの……識しない方が無理じゃない……)

沈黙。

やがて、
アウレリオは彼女から一歩、
距離を取った。
「今夜は、ゆっくり休むといい」

その声は優しすぎるほど優しい。
「君が“その気”になるまでは」

そう言って、
彼はベッドの反対側へ向かった。

――まただ。
(……また、置いていかれる)
なのに。
胸の奥が、
熱くて、落ち着かない。
(……本当に)
(この人、天然なのか、それとも――)
ラジワは、
ブランケットを握りしめながら思う。
(……完全に、策士じゃない)