――本当の初夜――
儀式が終わったあと。
王宮は祝宴の余韻に包まれていたが、
ラジワの心臓は、
それどころではなかった。
(……今夜)
(今夜こそ……本当に……?)
太陽神の祝福。
神殿で交わされた誓い。
もう「未完成」ではない。
名実ともに、夫婦。
なのに。
廊下を並んで歩くアウレリオは、
相変わらず落ち着いている。
余裕綽々。
まるで、何も変わっていないかのように。
――いや。
違う。
距離が、近い。
肩が触れそうなほど。
歩幅も自然に揃えられている。
(ち、近い……!)
ラジワの胸は
さっきからずっと、うるさい。
(今夜こそ……
本当に、そういう夜なのよね……?)
寝室の扉が閉まる。
二人きり。
その瞬間、
ラジワは息を呑んだ。
アウレリオが、
ゆっくりと彼女の方を向く。
「……今日は、疲れただろう」
低く、柔らかな声。
さっきまでの
“王太子”の声ではない。
(だめ……心臓が……)
「でも」
一歩、近づく。
ラジワの肩がびくりと跳ねる。
「君がこの婚姻を不本意だと思っていることは、
承知している」
――きた。
ラジワは、思わず身構える。
「俺は」
アウレリオは彼女を見下ろしながら、
だが決して威圧せずに言った。
「嫌がる女に、無理強いするつもりはない」
……え?
ラジワの脳が、一瞬止まる。
「だから」
彼は少しだけ口角を上げた。
「今夜も君が望まないなら、何もしない」
(な、なにそれ……!?)
儀式が終わったあと。
王宮は祝宴の余韻に包まれていたが、
ラジワの心臓は、
それどころではなかった。
(……今夜)
(今夜こそ……本当に……?)
太陽神の祝福。
神殿で交わされた誓い。
もう「未完成」ではない。
名実ともに、夫婦。
なのに。
廊下を並んで歩くアウレリオは、
相変わらず落ち着いている。
余裕綽々。
まるで、何も変わっていないかのように。
――いや。
違う。
距離が、近い。
肩が触れそうなほど。
歩幅も自然に揃えられている。
(ち、近い……!)
ラジワの胸は
さっきからずっと、うるさい。
(今夜こそ……
本当に、そういう夜なのよね……?)
寝室の扉が閉まる。
二人きり。
その瞬間、
ラジワは息を呑んだ。
アウレリオが、
ゆっくりと彼女の方を向く。
「……今日は、疲れただろう」
低く、柔らかな声。
さっきまでの
“王太子”の声ではない。
(だめ……心臓が……)
「でも」
一歩、近づく。
ラジワの肩がびくりと跳ねる。
「君がこの婚姻を不本意だと思っていることは、
承知している」
――きた。
ラジワは、思わず身構える。
「俺は」
アウレリオは彼女を見下ろしながら、
だが決して威圧せずに言った。
「嫌がる女に、無理強いするつもりはない」
……え?
ラジワの脳が、一瞬止まる。
「だから」
彼は少しだけ口角を上げた。
「今夜も君が望まないなら、何もしない」
(な、なにそれ……!?)



