意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

ラジワは悩みながら、
ベッドの隅に座り直す。

汗で少し濡れた髪をかき上げ、
心の中で怒鳴る。
(……この人、どうしてそんなに落ち着いてるの!?
 こっちは心臓バクバクで、頭ぐちゃぐちゃなのに!)
アウレリオは完全に無防備に、
しかし整った姿勢で横たわっている。
――それが、妙に自然で、
妙に彼女の心をかき乱す。

(……えっ)

2人の寝室を満たすのは静寂。
あまりにも、静かすぎる。
(本当に……この人、何もしない気……?)
ラジワは背中を向けたまま、
息を詰める。

確かに自分から拒絶した。
冷たい言葉も投げた。
――それなのに。
本当に何もしてこないという事実が、
じわじわと胸を締め付けてきた。

(なによ、それ……)
怒りより先に、
得体の知れないもやもやが広がる。
(私が拒んだから?それとも……)

思考が嫌な方向へ滑り落ちていく。
(……私みたいな、わがままで、可愛げのない女は)
(女性としての魅力もない、って言いたいの?)

胸がちくりと痛んだ。
否定してほしかった。
怒ってほしかった。
欲情でも、支配でもいいから――
“求められた”という証拠が欲しかった。

なのに。
背後の男は、
まるで何事もなかったかのように、
呼吸を整えている。

(……信じられない)
耳を澄ますと、やがて――
すぅ……
すぅ……
静かで、規則正しい寝息。

(……寝た!?)
ラジワは、思わず歯を噛みしめた。
(こっちは……一睡もできないっていうのに……!)

怒りと、惨めさと、
どうしようもない自己嫌悪。
それらが絡まり合い、
夜は永遠のように長く感じられた。