意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

「ご丁寧にどうも」
ラジワは冷ややかに言った。

「ですが、心遣いは不要です」

初対面からどこか敵意剥き出しのラジワに、
アウレリオは眉一つ動かさない。
「そうですか」
ただ、それだけ。

拍子抜けするほど、
あっさりした返答だった。

王宮の回廊を歩きながら、
ラジワは堪えていた言葉を吐き出した。
「はっきり言っておきます」

足を止め、振り返る。
「この結婚は、私の意思ではありません」

アウレリオは彼女を見下ろさない。
見据えるだけだ。
「存じています」

「……」

「あなたが望んだものではないことも。
 帝国が追い込まれていることも」

ラジワの目がわずかに見開かれる。
(知っている?)
「だから、期待しないで」

ラジワは声を強めた。
「あなたの国を愛することも、あなたを愛することも」

胸の奥で、
どうしようもない怒りがまだ燻っている。

「心まで手に入れられると思わないでください」

一瞬の沈黙。

そして。
「心得ておきましょう。」

アウレリオは、
それ以上何も言わなかった。

否定もしない。
怒りもしない。
説得もしない。
ただ、受け取っただけ。