意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

でも今は違う。
胸の奥で、
何かが、ぐつぐつと煮え立っている。
(私は……こんなふうに、静かに切り捨てられる存在だった?)

兄は、私を駒として選んだ。
父は、私を犠牲として差し出した。
恋人は、
私を“幸せを祈る対象”に変えた。
――誰一人、
「ここにいろ」とは言わなかった。

……もう、いい。
泣くのは終わり。
選ばれなかったことを、
嘆くのも終わり。

私が怒っているのは、
奪われたからじゃない。
「当然だ」と扱われたことにだ。

私は、
選ばれるだけの女ではない。
耐えるだけの女でもない。

もし、
誰かの都合で動かされるなら。
その盤上で、私は私の意思で立つ。

(覚えていなさい)
父も、兄も、
この帝国も。
そして――
静かに私を手放したあなたも。

(もし、誰かが――)
心の奥で、まだ名も知らぬ未来の影が、
かすかに揺れた。

「行くな」と言ってくれる誰か。
 命令よりも、私を選ぶ誰か。

その存在を、
この時のラジワはまだ知らない。

だが確かに、
この別れがあったからこそ。
彼女は後に、
太陽の男――アウレリオの言葉に、
救われることになる。