意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

「姉上はね!!!」

勢いよく身を乗り出すビンセント。

「ご自分がお辛い境遇にも関わらず、その美しさは損なわれるどころかますます輝いていたんだ!!」

「周囲への気遣いも忘れず、礼節、知性、慈愛、すべて完璧!本当に――淑女の鑑そのものだったよ!!」

ラジワは話題を変えたことを後悔した。
(あ、これはスイッチを入れてしまった)

しかし、もう遅い。

「それなのにだよ!?あのドノヴァン侯爵とかいう
クソみたいな男が姉上の夫だったなんて許せるわけがない!!」

玉座の間に、
不穏な単語が転がる。
「まぁ密偵から聞いた話だけどさ、姉上、ドノヴァン侯爵との婚姻、ちゃんと無効にしてもらったらしい」
「さすが姉上。そういうところ、抜かりないよね。姉上の輝かしい経歴を汚すクズ野郎なんて、姉上の歴史から抹殺されて当然なんだよ」

「で、例のアズールティアのデクラン王子だけど――」
急にビンセントのトーンが下がる。
「……まぁ?性格は真面目そうだったし?悪くはない、うん、悪くはないよ?」

(※全員:評価低くない?)

「でもさぁ、知り合ってどれくらいの男に姉上が身を寄せるなんて普通に考えて心配じゃない!?僕を頼ってくれたら良かったのに!」

ビンセントは胸に手を当てて力説する。
「僕だったらさ、姉上の好きなものも、嫌いなものも、
全部把握してる。姉上が安心して、幸せに暮らせるベストな環境を完璧に用意できるのに!!」

そして、
キラキラした目でラジワを見る。
「ねぇ、ラジワ姉さまもそう思わない?」