ビンセントの言葉を受けて、
ラジワは静かに口を開いた。
「……マルヴァリス兄さまが失脚せず、兄上も、ただの皇子の一人のままだったなら。こんなことにはならなかったでしょうね」
誰も否定しなかった。
運命は、
少しの歯車の狂いで、
簡単に怪物を生む。
玉座の間に、
しんみりとした空気が流れる。
だが――
そんな空気を打ち破るように
ビンセントはゆっくりと顔を上げた。
ビンセントは、
一通の封書を取り出す。
「私の戴冠式はひっそりと行うつもりです。派手な祝宴も、凱旋行列もありません」
その封書を、
ラジワとアウレリオへ差し出す。
「ですが……ソラリス王国の皆さまには、どうしても立ち会っていただきたい。混乱の中でも、正しい選択をしてくれた国として。そして――姉を守ってくれた“家族”として」
ラジワは胸の奥がじんわりと熱くなるのを感じた。
「……ぜひ行くわ」
迷いのない声。
アウレリオも力強く頷く。
「我々は新しいドラゴニアをこの目で見届けよう」
ビンセントは、
深く、深く頭を下げた。
その姿はもう“弟”ではない。
――未来へ向かう皇帝だった。
ラジワは静かに口を開いた。
「……マルヴァリス兄さまが失脚せず、兄上も、ただの皇子の一人のままだったなら。こんなことにはならなかったでしょうね」
誰も否定しなかった。
運命は、
少しの歯車の狂いで、
簡単に怪物を生む。
玉座の間に、
しんみりとした空気が流れる。
だが――
そんな空気を打ち破るように
ビンセントはゆっくりと顔を上げた。
ビンセントは、
一通の封書を取り出す。
「私の戴冠式はひっそりと行うつもりです。派手な祝宴も、凱旋行列もありません」
その封書を、
ラジワとアウレリオへ差し出す。
「ですが……ソラリス王国の皆さまには、どうしても立ち会っていただきたい。混乱の中でも、正しい選択をしてくれた国として。そして――姉を守ってくれた“家族”として」
ラジワは胸の奥がじんわりと熱くなるのを感じた。
「……ぜひ行くわ」
迷いのない声。
アウレリオも力強く頷く。
「我々は新しいドラゴニアをこの目で見届けよう」
ビンセントは、
深く、深く頭を下げた。
その姿はもう“弟”ではない。
――未来へ向かう皇帝だった。



