意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

――「ならば、殺すしかない」

帝都クリュサロス・皇城。
クレオールは、
机の上に叩きつけられた報告書を睨みつけていた。
ソラリス王国の声明。
地方で広がる動揺。
離反を匂わせる貴族たち。

「……ビンセントめ」
歯ぎしりの音が、
静かな執務室に響く。
「姉を逃がし、
友好国を味方につけ、
皇帝の座を狙うつもりか」

彼の中で、
最後の一線が――切れた。
「ならば、奴を生かしておく理由はない」

冷たい声が静かな部屋に響く。
「ビンセントを殺せ」
側近たちは一瞬だけ躊躇した。
だが、
皇帝の命令は絶対だった。
「事故に見せろ。反乱の芽は、根から断つ」

それが、
クレオール最後の判断だった。