意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

アウレリオが私室に戻った時、
ラジワは椅子に座ったまま、
両手を強く組んでいた。

扉が開く音に気づき、
ぱっと顔を上げる。

「……どうだったの?」
その声は、
平静を装ってはいたがわずかに震えていた。

アウレリオは隠さなかった。
いや、隠す必要などないと判断したのだ。
「ドラゴニアは――お前の“帝国常駐”を正式に要求してきた」

一瞬、
ラジワの呼吸が止まる。
「……やっぱり」
小さく笑おうとして、
唇がうまく動かなかった。
「私を、もう一度“駒”に戻すつもりなのね」

指先が白くなるほど、
スカートを握りしめる。
「でも、拒否してくれたのよね?」

「ああ。国王陛下も俺も、断固としてな」
その言葉に、
ラジワの胸に溜まっていた何かが、
一気に溢れ出した。
「……許せない」
低く、だが確かな怒りの声。
「兄上は……どこまで行けば気が済むの?」
「姉さまを追い出して、私を縛ろうとして、国民を恐怖で支配して……!」

ラジワは顔を上げる。
その瞳に宿っていたのは、
恐怖ではなく、
はっきりとした“断罪”だった。

「ビンセントなら、沈みゆく帝国を救えるかもしれない……兄上はもう、国を導く資格がない」

その言葉にアウレリオも深く頷いた。