意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

彼はラジワの額に
そっとキスを落とす。

そして、
ゆっくりと背中を撫で、
呼吸を合わせるように
何度も、何度も囁く。
「ここにいる」
「俺の腕の中だ」
「お前は、誰にも奪わせない」

その言葉に、
ラジワの身体から
少しずつ力が抜けていく。
胸に耳を当てると、
確かな鼓動が聞こえる。

生きている。
ここにいる。

「……アウレリオ……」
声が甘く、かすれる。
不安が消えた代わりに、
今度は――
彼が恋しくなってしまった。

ラジワはそっと顔を上げ、
潤んだ瞳で見つめる。
「……ねぇ、お願い……」

その一言だけで十分だった。

アウレリオは、
一瞬だけ息を止め――
そして、
困ったように微笑う。
「……本当に」
「お前は、俺を試す天才だな」

そう言いながらも、
彼の腕はさらに強くラジワを抱き寄せる。

嵐の前夜。
世界は、
確実にきな臭くなっている。

それでもこの夜だけは――
互いの温もりだけが、確かな真実だった。