意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

王宮の執務室には、
重苦しい空気が満ちていた。

長机の上に広げられているのは、
駐ドラゴニア大使からの詳細な報告書。
皇帝クレオールの戴冠以降、
帝国で何が起きているのか。

誰が粛清され、
誰が沈黙し、
誰が密かに距離を取り始めているのか――
赤裸々に記されている。

ソラリス国王は、
報告書を読み終えると、
静かに視線を上げた。
「……もはや、皇帝ではないな」

「暴君だ」

隣に立つアウレリオも低く頷く。
「ビンセント殿下が立ち上がるのも、無理はありません。放置すれば、帝国は内側から腐り落ち、周辺諸国にまで災厄を撒き散らすでしょう」

国王は、
ゆっくりと椅子から立ち上がった。
「明日、ドラゴニアの使節団が来る。しかし、何を要求してこようとも――」
国王ははっきりと言い切る。
「我々の立場は変わらない。ソラリス王国は、ビンセント殿下を支持する」

「それが、この国の良心であり、未来だ」

アウレリオは迷いなく一礼した。
「私も、同じ覚悟です」