意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて

「お姉様は……」
言いかけて、言葉を飲み込む。

ファティマはそれを咎めず、
ただ静かに続けた。
「私はね、ラジワ。もう、自分の道を選んでしまったの。皇女として帝国に一生を捧げるつもりよ」
その声音は優しく、
そして決定的だった。

「だからこそ、あなたには――
 あなたの望む未来を掴んでほしい」

ラジワの目が潤む。
「……ありがとう、お姉様」
思わず、身を乗り出して抱きつくと、
ファティマは驚いたように瞬き、
それから、そっと妹の背に手を回した。

「大丈夫よ」
囁くような声。
「何があっても、あなたは一人じゃない」

その夜。
ラジワは知らなかった。

この言葉を、
この温もりを――
最も残酷な形で、
思い出すことになる未来を。