青に溶ける、きみ。




午後の授業開始を告げるチャイムが鳴って、少し遅れるように、晴海が教室へ戻ってきた。



「何してたんだよー」

「おせーぞ」



先生はまだ来ていなくて、軽い野次が飛ぶ。
それを受け流しながら、晴海はこちらの席へ向かってくる。



近づくにつれて、気づいてしまう。
いつもより、表情が影を落としていること。



——少し、顔色が暗い。



その横顔を見て、胸の奥が揺れた。
ほっとする気持ちと、同時に、名前のつかない不安。



戻ってきたことに、安心して。
でも、どうしてそんな顔をしているのか分からなくて。



窓から差し込む午後の光が、晴海の肩に落ちる。
それでも、その影は消えない。


私の視線に気づいたのか、晴海はわざとらしいくらい、にこっと笑ってみせて、すぐに目を逸らした。



——違う。
いつもと、違う。



そう思った瞬間、反射的に手を伸ばしかける。
けれど、その時。



前の扉が開いて、先生が入ってきた。



「起立」



伸ばしかけた手は、行き場を失ったまま空中で止まり、号令の声に押されるように、そっと引っ込めた。