ふいに、視界の奥で人に囲まれた晴海と目が合った。
あの子どもみたいな笑顔で、駆け寄ってくる姿が見える。
「ねえ、絶対こっち来るよ!」
緑が私の右腕をバシバシ叩いたり、引っ張ったりして忙しない。
でも、それより私の心臓がせわしなくて、落ち着かない。
いや、私のもとへ来るなんて限らないし。
緑に引っ張られ、押されて、視界がグラグラする。
その中で、晴海がどんどん近づいてくるのが見えた。
だめ、来ちゃだめ、晴海。
もう、私はたくさんもらってる。
これ以上、近くにいたら、頭がぐちゃぐちゃになりそうで――。
晴海は、そんなこと、微塵も知らない。
目の前で立ち止まり、ふと訊く。
「見てた?」
――当たり前に見てた。
晴海しか、見ていなかった。
小さく頷き、視線を合わせる。
視界に入ってくる、その腕に巻かれたはちまきが、夏の光を受けて揺れるたび、胸が高鳴るのを抑えながら、小さく深呼吸をした。



