――『俺と夏井だけの、秘密』
そう言ったときの晴海を思い出す。
青空の下、風を切って駆ける晴海の姿が、太陽の光に溶けるみたいに鮮やかで、眩しい。
晴海の左腕に揺れているはちまきが、今朝の晴海を思い出させる。
触れられて、触れて、溶けた、あの時間。
気づいたら、残り2分。
晴海が空いているスペースへ、風を切るように華麗なパスを送る。
それを受け取った仲間がシュート――見事に決まり、決勝点。
私たちのクラスの男子サッカーは、優勝を手にした。
たくさんの人に囲まれる晴海。
やっぱり、少し遠い存在だな、と思う。
「そういや今日、晴海と話せた?」
「話せたよ」
「そお?」
「うんっ」
遠い存在ではあるけれど、晴海のはちまきがここにあって、それを知っているのは、私と晴海だけ。
友達の多い晴海。
いつも周りに人がいて、みんなに囲まれている晴海。
それでも、私はそんな晴海がいいと思う。
たくさんの人に囲まれて、笑って過ごしてほしい、とさえ思う。
私には、このはちまきだけでも十分すぎるくらい。



