「集中しろー!」
緑の豪快な蹴りでボールは私の頭上を軽く越え、男子たちの方へ飛んでいった。
「強すぎー!」
笑いながら小走りで追いかけると、ボールが止まったのは、晴海の足もとだった。
お前も、ここがいい場所だったのか、なんて心の中でひそかに思う。
「すげー蹴り」
クスクス笑いながら、晴海はボールを拾って、私にそっと返してくれる。
「緑、サッカー好きだから」
「やってんの?」
「見る専門」
「なんだそれ」
眩しい夏の日差しの中で、何でもない会話が、ふっと胸の奥に柔らかく落ちていく。
私も晴海もペアに呼ばれて、ここで一時解散。
緑との距離は約30メートルもあるのに、「なに話してたのー!?」と、大声で聞いてくるから、慌ててサッカーボールを蹴ると、今度は緑の頭上を軽く越えてしまった。
“ごめん”
手のひらを合わせると、元気な声で「これでおあいこねっ」と返ってくる。



