くすぐったくて、やめてほしいのに、言えない。
晴海の手が、後ろからそっと私の頬をつねるまで、私は動けなかった。
「…っ」
「はは」
首を後ろに回すと、私の頬をつねって笑う晴海。
いい加減にして。
「…手、離さないと怒るんだからね」
「はは、うん」
目を細めて私を見つめる、その満足げな顔に、胸がいっぱいになる。
「次、俺の番。二の腕に巻き付けて」
ポケットからはちまきを取り出すと、「名前、ちゃんと書いてある?」と確認される。
前に褒められたことを思い出しながら、意識して丁寧に書いた字。
晴海の左の二の腕に、はちまきを巻きつけ、蝶々結びをする。
はちまきの端に自分の名前が見えて、「晴海が私のはちまきをつけてる」と実感して、頬が熱くなる。
私の髪につけた晴海のはちまきも、同じように見えているのだと思うと、それだけで、意味のあるものになった気がした。
“自分のもの”だと主張しているようで。



