「ポニーテールの…ゴム、のとこ」
「うしろ、向ける?」
心臓がうるさい。
晴海を見上げて、唇をきゅっと結び、緊張しながら背を向ける。
緊張で、全身が敏感になっている。
まだ触れられてもいないのに、晴海の手がどこにあるのか、なんとなくわかってしまう――
「触る」
それだけ言って、晴海の手がやさしく髪に触れた。
今日は緑にしてもらったから、ボサボサじゃないはず。オイルも塗ったし、きっと綺麗なはず。
そう言い聞かせて、目をぎゅっと閉じる。
晴海は意外と器用で、「痛くない?」と何度も確認しながら、丁寧に結んでくれる。
「やっぱ、夏井の髪、綺麗」
ふいに束ねた髪を触られて、心臓がさらに跳ねる。
目を強くつむればつむるほど、
次の瞬間、
「こういうの、俺だけにして」
えっ――
ポニーテールであらわになった首筋に、晴海の手が触れる。
驚いて目を見開いて、ひとつ、文句でも言ってやろうかと思ったけど、そんな根性はないし、晴海に触れられて困るのは私の心臓で、頭の中は、私のくせに“うれしい”でいっぱいで。
とうとう変態になってしまったのかもしれない。



