青に溶ける、きみ。




蝉の声が耳にざわめき、遠くで笑い声が跳ねる。

夏の風が、髪をそっと揺らし、汗ばむ背中に涼しい感触を残す。



心臓が、まるで太鼓のように跳ねる。

視線がぶつかるたび、胸の奥が熱くなる。



「…今日は、暑いね」



思わず口にした言葉に、晴海が小さく笑う。

その笑顔に、太陽の光が反射して、まぶしくて、当たり前のように心が震えた。



「夏井、サッカーうまいんだな」



思ってもいないくせに、よく言うよ。

そのサッカーのせいで、今、こんな状況になってるのに。


でも、ふと考えると、サッカーが上手くなくてよかったと思った。



もしあのとき、ボールを綺麗に蹴り返していたら――

今ここで、ふたりで立っていることはなかっただろう。

はちまきの交換も、きっとなかった。



「当日、交換な」



晴海はそう言うと、いつの間にか飲み干していたカルピスのペットボトルをゴミ箱に捨て、横目で私をちらりと見て、歩き去ってしまった。


ひとり残された私は、さっきまでの余韻がまだ胸に残って、熱くなった頬にオレンジジュースを押し当てる。



「…あつい」



風も蝉の声も、遠くの笑い声も、全部がこの瞬間に溶けて、ただ胸の鼓動だけが大きく響いた。