名前が書いてあるはちまきを交換――
特に意味はないのかもしれない。
でも、嫌いな人には絶対、しないこと。
「わ…私、晴海のこと、嫌いじゃないよ」
「…そ」
「ば、罰ゲームになるかなあ?」
否、ならない。ご褒美だ。
晴海のはちまきを当日身につける――
そんなこと、私がしていいの?
「俺の言うこと聞いてほしいっていう罰ゲーム」
「…断れないってこと?」
「まあ、そう」
カルピスを一口飲んで、キャップをしめて、まあ、断ってもいいけど、って。
断るわけがない。
晴海に「はちまき交換して」と言われて、了承する理由はいくつもあるのに、断る理由は、ひとつもなかった。
恥ずかしくて、恥ずかしくて、「なんでそんなことしたいの?」と聞きたいのに、言葉が喉まで届かない。
「なにかのはやり?」
なんて、意味の分からないことを聞いてみて。
「俺と夏井だけの、秘密」
って言葉に胸が苦しくなって。
聞きたいことは山ほどあるくせに、言葉を探す前に、逃げるように「いいよ」と答えた。



