青い空、蝉の声、汗の匂い。
晴海は、たぶんあれが似合う。
夏になると、よくコマーシャルや広告で見る、あの制汗剤のやつ。
もし晴海がそれのモデルになったら、私は全色買うんだろうな、きっと。
そして、蓋だけ交換してもらう。そんな勇気は、ないけど。
もし、もっと早く晴海に出会えていたら、私たちは、どんな景色を一緒に見ていたのだろう。
中学生のころに出会えていたなら、今よりずっと自然に話せて、“クラスメイト”という枠を抜けて、友達になれてたのかもしれない。
去年、一昨年と同じクラスになれていたら、もっといろんな晴海を、違う角度から見られたのかもしれない。
でも、今更のことだし、どうにもできないことばかりだ。
それでも、この夏を諦める理由にはならない。
「パス行くよー!」
緑の声がグラウンドに響く。
真っ直ぐ飛んできたボールを受け取り、そのままゴールに向かって蹴る――
「ナイシュー!夏井!」
そのキラキラの目で、どうか私を見ないでほしい。考えないでほしい。
…そんな願いこそ、傲慢だ。
だから、晴海、どうか、
この夏、少しでも私を意識して、
少しだけでも、心のどこかで私を感じてほしい。



