そう思ってた、そのとき。
コロコロと、どこからかボールが転がってきた。
「夏井、ボールとって」
声と一緒に、晴海も私のところまで来る。
蹴ろうか、手で渡そうか。
迷って、足を引いた瞬間、
「飛ばしたら罰ゲームね」
そんなことを、笑いながら言うから。
結局、足は引っ込んで、私はボールに手を伸ばしていた。
その様子を見て、また笑う。
今日は、雨の気配なんてどこにもない、綺麗な青空の下の笑顔だった。
「……やっぱり、蹴っていい?」
「はは、どっちでもいいよ」
なんだか悔しくて、晴海に少しはかっこいいところを見せようと、慎重にボールを蹴った。
でも、ぽーん。
目指してもない先に飛んでいくボール。
晴海は目で追いながら、「罰ゲームな」と笑って言った。
やってしまった、かなり遠くまで行ったボール。
「ごめん、晴海!」
慌てて追いかける私。
でも晴海は、軽やかに、私よりも先に走り出してしまった。



