青に溶ける、きみ。




ボールが、また転がっていく。

私は一瞬だけ言葉に詰まって、その背中と、揺れる陽炎を見つめた。



最後かもしれない夏。

それでも、名前ひとつで思い出せるなら、きっと、十分なんじゃないかって。



結局、晴海と過ごす最後の夏も、私はきっと、遠くから眺めるだけで終わるんだろう。


その景色に、片足さえ踏み入れられないまま。
同じ空の下にいて、同じ季節を生きているのに、距離だけが、どうしても縮まらない。



晴海のいる夏は、いつも眩しくて、触れたら壊れてしまいそうで、だから私は、日陰から見上げることしかできない。

でも、それでいいし、そのままでいいし、私の中の晴海は、私のことなんか気づかないまま夏を過ごせばいい。




…そう思ってた。ほんの少し前までは、ほんとにそう思ってたの。



あの日、保健室で先生が言った言葉が、ずっと胸に残っている。


『キラキラしている景色の中に、ちゃんと自分も忘れずに入れてほしいのよ』


あれから、どうにも私は欲張りになったのか。

このサッカーだって、ほかの女子たちと同じ。



私だって、できることなら晴海と同じ時間にいたい。

少しでも、晴海の景色に足を突っ込みたい。晴海のキラキラに入りたい。