私の162センチの身長では、遠く及ばない遥か上の身長。
夏の雨に濡れた髪も、笑い声も、全部、晴海だけの光みたいに眩しくて。
しゃがんで前髪を拭いてくれた晴海は、緑の一言でふと姿勢を直した。
きっと、顔が赤くなっている私を見下ろしながら、持っているタオルで口元を隠して、
「ご、めん。つい」
なんでそっちが照れてるの、と心の中で叫ぶけれど、そんな顔を見てまた私の胸がぎゅっとなる。悪循環。
その場面をにやにや見ている緑の顔を想像するのは簡単すぎた。
「じゃ、あっち行くから」
恥ずかしそうに、こちらを見ないまま男子のほうへ行ってしまう晴海。
初めて触れられた手、初めての距離感。息が、止まりそうになる。
緑の声――「もう、焦れったいな~」――は、遠くに消えて、まるで聞こえなかった。



