「夏、すき?」
ふいにかけられた問い。
彼の目が、私の目をまっすぐに見つめる。
少し緊張しながら、私は答えた。
「すき、だよ」
夏は、暑いけれど、すき。私、寒がりだから。
それに、晴れの日が多いから、すき。雨の日は、髪が湿気で爆発しちゃうし。
すると彼は、にこりと笑って言った。
「暑いの苦手。でも、海は好き」
名前も何も知らないのに、夏の空みたいに澄んだ青の笑顔が、彼には似合うと思った。
「夏、似合いそうだけどなあ」
ぽつりとつぶやくと、彼は少し照れたように笑い、
「はは、よく言われる」
そう言って、手を振りながら行ってしまった。
元々すきだった夏が、もっとすきになった。
初めて舞い降りたキラキラを、私は胸の奥にそっとしまった。



