やっちゃったな、と心の中で反省していると、相手は大きく口を開けて笑った。
「その傘だと、ふたりとも濡れそうだな」
その笑顔が、なんだか夏の空みたいに見える。
今日みたいな曇り空じゃなくて、夏の日の、太陽が眩しく輝く青空。
光をぎゅっと詰め込んだような、透明で鮮やかな青に似ていた。
少し高めの声が、耳の奥まで心地よく響く。
「あ、晴れそう」
ちら、と外に目を向けると、雲の隙間から光がこぼれて、ほんのり明るい空が見える。
実際はそこまで明るくないのかもしれないけれど、私には十分すぎるほどの青空に見えた。
「俺、晴れ男なんだよね。名前にも入ってるし」
彼がそう言っている間に、雨はすっかりやみ、さっきまでの雨音はもう聞こえない。
かわりに、私の胸の中で心臓だけが、うるさく響いていた。



