時計が18時に近づくと、ちらほら帰る人が増えて、18時半を回ったころには、とうとう教室にひとり。
外はまだ明るいけれど、雲に覆われていて、夏の空とは言えない色をしている。
それにしても、よくこの時間まで雨が降らなかったな、と思いながら、まったく進まなかった問題集を机の中で迷った末、鞄にしまって教室をあとにする。
階段を下りると、どこのクラスもまだ電気がついていて、笑い声や話し声が遠くから聞こえる。
みんな、再テストでいい点が取れますように、と心の中でそっと願いながら、昇降口へ足を運ぶ。
鞄の中に常備している折り畳み傘を出そうか迷いながら、外に足を踏み出すと、ぽつ、と足元に雨の跡が広がる。
次の瞬間、勢いよく雨が降り出して、思わず「きゃー!」と声を上げ、慌てて校舎に戻る。
もう、私が出た途端に降り出すなんて、なんて運の悪さだろう。
すると、端のロッカーのほうから男子の声がした。
「うわー、降ってんじゃん、最悪」
声のする方を見ると、目が合った。バチッと。
気まずくて、でも思わず口が動く。
「…傘、一緒に入りますか?」
言った後で、後悔する。
初対面の人にこんなこと言ったら、きっと怖いよね。



