「晴海は、私にないもの、持ってるよね」
ぽつり。
考えるより先に、言葉が落ちた。
しまった、と思って顔を上げると、頬杖をついていたはずの手が離れていて、晴海が少しだけ目を見開いていた。
あ、これ。
もしかして、嫌みに聞こえた?
「ご、ごめん。今の、褒めたつもりで……」
慌てて言い直した私より先に、晴海の声が、意外なほど静かに重なる。
「俺からしたら、夏井のほうが羨ましいけど」
「……え?」
いつも姿勢いいし。字、綺麗だし。落ち着いてて、大人っぽいし。誰にでも優しいし。それにさ……いつも、笑ってるだろ。
夏の光みたいに、まっすぐで、逃げ場のない言葉。
「……ほ、褒めすぎじゃない?」
乾いた声で、笑ってみせる。
でも心臓は、さっきから忙しない。
…わ、たし、そんなにいい子じゃないよ、晴海。



