「次、男子サッカー!」
晴海はゆっくりと手を挙げながら、
「夏井もサッカーにしようよ。そしたら一緒に練習できるよ」
なんて、何気ない声で言ってくる。
そんなふうに、当たり前みたいに言うから。
胸の奥が、夏の空気みたいに膨らんでしまう。
……この、タラシ男。
何も知らない顔をして、ずるい。
「次、女子サッカー!」
その声が届いた瞬間、緑の存在も、考える余裕も、全部置き去りにして、私は勢いよく手を挙げていた。
あ、やってしまった。
そう思ったときにはもう遅くて、少し間を置いて、緑も手を挙げている背中が目に入った。
同時に、隣から小さな笑い声。
「ククッ……これで、一緒にサッカーできるね」
その一言で、顔に熱が集まる。
恥ずかしくて、どうしていいか分からない。
私が、晴海とどうしても一緒にいたいとか、そんな風に思われてたらどうしようって。
ムスッとした顔で、晴海を睨む。
「自分で選んだのっ」
少し強めに言い返すと、
「そう?」
なんて、晴海は頬杖をついて笑った。



