青に溶ける、きみ。


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午後の教室は、空気まで重く沈んでいるみたい。


意志とは裏腹に、まぶたは重力に逆らえず落ちていく。


せめて、数学じゃなければ――そんな淡い願いも、頭の片隅でちらつく“受験生”という言葉にかき消される。



ノートに目を落とすと、最後の問題に向かおうとした痕跡は、眠気に負けた文字の乱れとなって散らばっている。

解こうという気力は、すでにどこかへ消えてしまったみたいだった。



ノートをそっと書き直して、ふと隣を見ると、私の眠気との戦いが、なんだか滑稽に思えるくらい、晴海は机に体を預けて堂々と眠りに落ちていた。


思わず、笑みがこぼれる。



このまま、そっとしておきたい――でも、もうすぐ先生に指される順番だ。

放っておいたら叱られるだろうし、それは少し可哀そうだと思った。


こんなに眠くなるのは、晴海のせいじゃない。

悪いのは、この午後の退屈な数学の授業を組んだ学校の方だ。



「晴海、起きて。晴海」



小声で呼ぶと、少しずつ瞼が重力に抗いながら上がっていく。



「もうすぐ当てられるよ」

「あ、まじ?」



勢いよく体を起こす晴海。黒板を見つめるその肩が、ちょっとげんなりしているのがわかる。


数学は得意じゃないんだもんね。