「えー、夏井さん痛そー」
晴海の後ろから、わらわらとクラスメイトたちが出てくる。
こんなにも男子に注目されることなんて、普段ない。
どうすればいいのか分からなくて、思わず緑に助けを求める。
「晴海、あんたのせいだからねっ」
「えっ、あっ、俺のせい!?」
自分を指さして困った顔の晴海に、慌てて「違う違う」と撤回する。
もう、やめてよー、と小声で緑に言うと、緑はにやにやしているのだから、もう。
「俺のせいかー」
「晴海の笑い声が大きくて、気になって仕方なかったんだよねー」
私と晴海を交互に見ながら、緑が楽しそうに言う。
「き、気になったというか…!」
慌てて否定しようとすると、晴海が近づいてきて、私の耳元に、誰にも聞こえないようにボソッと囁いた。
「これからは、小さい声でしゃべるね」
「…っ」
あまりに近い距離と、晴海の吐息に心臓が落ち着かなくて、思わず少し離れると、晴海がクスッと笑う。
その瞬間、自分の顔が今にも爆発しそうなくらい赤いのが分かる。
晴海のバカ。



