青に溶ける、きみ。





呼吸をひとつするたび、世界が少しだけ揺れる気がする。

何気ない音、光、匂い――

それらが、知らぬ間に胸の奥をざわつかせる。


視線が交わる瞬間、指先が触れる距離、空気の温度――

そんな些細なことに、心は無意識に反応してしまうのだ。


教室の光も、午後の青に溶ける。

窓から差し込む光が、机の上のノートや教科書に触れるたび、胸の奥で小さな波が立つ。

授業の合間に聞こえる笑い声、ペンが落ちる音、風に揺れる髪――

すべてが、私の心を少しだけ早め、胸の奥に熱を灯す。


意識するだけで、世界は静かに、でも確かに熱を帯びる。

視線を向けるたび、声を聞くたび、胸の奥が微かに震える。


それの名前を、私は心の中で知っている。


でも、言葉にするには、まだ光に溶ける青のように、透き通ったままにしておきたい。








【 青に溶ける、きみ。 】