「その蝶々、どうなったの?」
「……聞かないでくれ。子どもって残酷だろう? こんな事になるとは思わなかったんだ」
「……」
元寄はその場にうずくまるようにして、
「だから蝶々が怖いんだ。今よりもっと悪い事が起こりそうで」
と、呟いた。
「大変だったんだね」
「いや、でも、運が良い時もあるんだ。結局父親から見放されたけれど、そのおかげで親戚の家に身を置いて、学校にも行けたし、大学生にもなれた」
「うん」
「それに香菜子に会えた」
「……」
「香菜子は俺にとってかけがえのない人なんだ……、たったひとりの大切な人だ……」
元寄がまた「香菜子ぉ」と、言い出した。
私は蝶々のヘアピンを元寄の視界に入らないように、今だけは体の後ろに持つことにした。
(元寄にもこんな事情があったんだ。だからって、元寄のしたことが許されるわけじゃないけれど)
「お前……、香菜子の所に帰るんだろう? 伝えてくれよ、俺の気持ち」
「……聞かないでくれ。子どもって残酷だろう? こんな事になるとは思わなかったんだ」
「……」
元寄はその場にうずくまるようにして、
「だから蝶々が怖いんだ。今よりもっと悪い事が起こりそうで」
と、呟いた。
「大変だったんだね」
「いや、でも、運が良い時もあるんだ。結局父親から見放されたけれど、そのおかげで親戚の家に身を置いて、学校にも行けたし、大学生にもなれた」
「うん」
「それに香菜子に会えた」
「……」
「香菜子は俺にとってかけがえのない人なんだ……、たったひとりの大切な人だ……」
元寄がまた「香菜子ぉ」と、言い出した。
私は蝶々のヘアピンを元寄の視界に入らないように、今だけは体の後ろに持つことにした。
(元寄にもこんな事情があったんだ。だからって、元寄のしたことが許されるわけじゃないけれど)
「お前……、香菜子の所に帰るんだろう? 伝えてくれよ、俺の気持ち」



