バタフライ エフェクト

「えっ」

「慌てて蝶々を見ると、転んだはずみで羽が取れてしまった。……可哀想なことをしてしまったと、心底後悔した」

「……」

「家に帰ったら、母親がいなかった」

「えっ?」

「しばらくすると父親が飲んで帰って来て、俺を殴った」

「……っ!」

「『何もかもお前のせいだ』とか、『お前なんかいなければ』と、父親は言って殴り続けた。俺は大怪我を負ったけれど、父親は病院なんて連れて行ってくれなかった」



元寄は自嘲するような笑い顔になる。



「急に不幸になったんだ。父親は暴力をふるい、仕事に行かなくなった。家にあった金は父親の酒代に消え、俺は家から出してもらえなくなった」

「そんな……」

「全部、蝶々の呪いなんじゃないかって思うんだよ」

「えっ……?」



元寄は私を見て、こう言った。



「蝶々の羽を取ってしまったから、色んなことが次々と悪い方向へ向かった気がする。些細な変化から、大きな結果に影響するんだよ」