バタフライ エフェクト

「あいつは私に、生徒として接することをやめたのよ」



好きだとか、付き合おうとか、元寄は言い寄ってくる。

そして嫌がる香菜子の髪の毛を、何度だって撫でた。

それまで長かったお気に入りのロングヘアを、香菜子はバッサリとショートヘアに変えたらしい。



しばらくして、元寄の友達という三人の男が現れた。

学校帰りの香菜子を待ち伏せ、元寄と付き合ってあげてほしいと、まるで冗談のように頼んできた。



「その三人の男の内に、丸橋 栄介(まるはし えいすけ)という、いかにもインテリジェンスを気取った男がいたの」



丸橋 栄介は元寄と同じ大学で、度々“ちょうちょ館”に遊びに来るようになった。



「姉の葉子のことを、丸橋はたぶらかしていたのよ」



葉子は丸橋に夢中だった。

香菜子の弟の広樹は、身体が弱く病気がちだったけれど、勘の鋭い人間だった。



「当時小学五年生だったんだけど」
と、香菜子が言うと、
「妹の心音も今、小五です」
と、梨々愛が嬉しそうな顔をした。



葉子と丸橋の様子を見て、気をつけたほうがいいと広樹は言った。

丸橋という男は嘘つきに見える、と。