バタフライ エフェクト

江原田さんの家は、“ちょうちょ館”から歩いて五分もかからない、角を曲がってすぐの日本家屋だった。



江原田さんを訪ねると、快く玄関に通してくれて、気づくとリビングにあるテーブルについて、温かいお茶と和菓子でもてなされていた。



「それで、私に聞きたいこととは何でしょう?」



江原田さんは穏やかな笑みを浮かべた。



「人から聞いたんですけれど、私達が越してくるずっと前に、あの屋敷で働いていらっしゃったって本当ですか?」



江原田さんの眉がわずかに、梨々愛の言葉を聞いて、痙攣(けいれん)したみたいに動いた。



「……それは……、執事の方からお聞きになったんですか?」

「えっ? いえ、父です」

「そうですか、失礼致しました。……えぇ、そうです。林堂家のお屋敷に勤めておりました」



私は梨々愛と顔を見合わせて、頷く。



「お聞きしたいんです」
と、私は切り出した。



「私達、調べている人物がいるんです。その人は林堂家の家庭教師で、二十一歳で行方不明になっているんですけれど」