バタフライ エフェクト

くすくす笑っている梨々愛の目から涙がこぼれた。



(そんなにおかしかったかな?)
と思っていると、梨々愛が顔を隠すように俯いた。



あぁ、そうか。

笑っているんじゃないんだ。



(泣き顔を誤魔化すために、無理に笑っているんだ)



心音ちゃんは今、どうしているんだろう?

確かに、心配と不安で心が破裂しそうになるよね?



「……ごめん」
と、私は梨々愛に謝った。



「あはっ、何が?」

「急がば回れ、なんて言うべきじゃなかった」

「…………いいの、私こそごめん。泣いてしまって」

「いいよ、そんなの」



梨々愛が涙を拭いて、
「私も昨夜、偶然わかったことがあるの」
と、自室のクローゼットを指差した。



「何?」

「見て」



クローゼットを開けて、バーにかけて収納されている洋服をハンガーごと左側へずらした梨々愛は、右側の奥のある場所を指差した。



そこには、油性のマジックペンでこう書かれてあった。



『kanako』



「……かなこ……?」