バタフライ エフェクト

梨々愛は振り向いて、
「離してよ!!」
と、また大声を出す。



「そんな嘘をついている時間があったら…………」



梨々愛の様子が変わった。

目を見開いて、真っ青な顔をしている。

掴んでいる手首から、梨々愛の脈拍がどんどん速くなっていることがわかる。



「梨々愛?」



梨々愛の視線が私の後ろ、それに少し高い位置をとらえていた。



(まさか)
と、思ったその時。



梨々愛がもう片方の手を伸ばし、私を引っ張った。

一体何が起きたのかわからず、振り返ってみると……。



じわっと、全身から汗が(にじ)み出た。



「知穂? 芹香?」



ふたりの名前を呼んでも、返事は返ってこない。



「……ねぇ、あのふたり……」



私の背中を嫌な汗が滑っていく。




「どうして、どこにもいないの?」




ドクドクドク……。



梨々愛の手首から伝わる鼓動の速さが、少しずつ、だけど確実に、私を恐怖へ突き落とす。