リーンリーンリーン…………。
虫の声が耳障りだと思った。
両手があいつの血で真っ赤に染まっている。
肩で息をしつつ、窓の外に広がる闇夜に目を向けた。
何の光もない。
暗い夜空。
「あは、あはははっ」
笑ってしまう。
だけど視界がぼやけていて、あぁ、泣いているんだと思った。
どうしてだろう?
こんなにも晴れやかな気持ちなのに、足元を掴まれて引きずり込まれそうな不安が拭えない。
行く先はきっと、こんな空みたいな闇だ。
✳︎
✳︎
✳︎
「ねぇ、沢渡 紫さんっている?」
昼休み、自分の名前が聞こえた。
B市立B中学校の、二年三組の教室の開け放しのドアの前に立つ彼女に、私は手を挙げてこう言った。
「私が沢渡です。何か私に用事ですか?」
彼女は尋ねた相手に向かって「ありがとう、見つけた」とお礼を言ってから、今度は私を見て、
「ちょっと話したいから、来てくれない?」
と、手招きする。
虫の声が耳障りだと思った。
両手があいつの血で真っ赤に染まっている。
肩で息をしつつ、窓の外に広がる闇夜に目を向けた。
何の光もない。
暗い夜空。
「あは、あはははっ」
笑ってしまう。
だけど視界がぼやけていて、あぁ、泣いているんだと思った。
どうしてだろう?
こんなにも晴れやかな気持ちなのに、足元を掴まれて引きずり込まれそうな不安が拭えない。
行く先はきっと、こんな空みたいな闇だ。
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「ねぇ、沢渡 紫さんっている?」
昼休み、自分の名前が聞こえた。
B市立B中学校の、二年三組の教室の開け放しのドアの前に立つ彼女に、私は手を挙げてこう言った。
「私が沢渡です。何か私に用事ですか?」
彼女は尋ねた相手に向かって「ありがとう、見つけた」とお礼を言ってから、今度は私を見て、
「ちょっと話したいから、来てくれない?」
と、手招きする。



