晴れのち雨。運命の人に出会うでしょう

「ヘヘッ。女の子は体冷やしちゃダメだからさ」

「洗濯して返す」

彰はニコニコと笑う。蘭の頭にふと、朝の占いが頭に浮かんだ。あんなものインチキに決まっている。適当に言っているだけだ。しかし、気になって蘭は訊ねた。

「ねぇ、雨宮くんは誕生日いつなの?」

「えっ?急にどうしたの?」

「いいから答えて!」

「九月一日だけど」

蘭の心に衝撃が走る。九月一日は乙女座だ。顔に熱が集まっていくのを感じ、蘭は慌てて両手で頰を叩いた。

(馬鹿じゃないの!?あんな怪しい人が言った占いにドキドキしちゃうなんて……!!)

雨音が激しくなっていく。当分止みそうにない。蘭は彰から目を逸らすため、何気なく下されたシャッターの方に目を向けた。ミュージカル上映のお知らせが貼られている。

「オペラ座の怪人……」

上映されるミュージカルのタイトルを蘭が口にすると、彰が目を輝かせて振り返る。

「オペラ座の怪人ってあれだよね!「地獄の業火に焼かれながら、それでも天国に憧れる」ってやつ!」