晴れのち雨。運命の人に出会うでしょう

「たかなしさん!?何でここに?」

「図書館に行こうと思ったら、雨が降ってきちゃったのよ」

最悪、心の中で呟いて蘭は彰から目を逸らす。雨の音が大きく響く。ブルリと濡れた体が震えた。その時、ふわりと蘭の体に何かがかけられた。

「な、何?」

蘭はかけられたものを手で掴む。それは学校指定のジャージだった。隣で彰が笑う。

「それ、濡れてないから着なよ。風邪引いたら大変だし」

「何でジャージ持ってるの?」

素朴な疑問を蘭はぶつける。彰は道を濡らす雨を見ながら答える。

「今日、じいちゃんの畑手伝ってたんだ。ジャージはその時着てた」

言われてみれば、ジャージには土汚れが薄っすらとついている。しかし、まっさらな善意を断るのは失礼だと蘭はジャージを濡れたブラウスの上から着た。彰のジャージは蘭の持っているジャージよりも大きい。

「あっ!汗臭いかも。ごめん」

「別にいいわよ。畑手伝って汗かかなかったら何かの病気だろうし。……ありがと」