晴れのち雨。運命の人に出会うでしょう

「仕方ない。歩いて行こう」

祖母の家から図書館までは離れているものの、歩いて行けない距離ではない。バスを待っている時間がもったいなく感じ、蘭は足を動かしていく。

空は青空が広がっているはずだった。雨は降らない予報のはずだった。しかしーーー。

ポツリと冷たい雫が蘭の肩に当たる。それを蘭が自覚した刹那、ポツポツと雨が降り始めた。あっという間に雨は土砂降りになっていく。

「嘘!!一日中晴れじゃなかったの!?」

蘭は傘を持ってきていない。仕方なくシャッターが下りた店の屋根の下へと移動する。雨のせいで着ているブラウスとスカートはびしょ濡れだ。

「……最悪」

こんなに濡れていては図書館で勉強どころではない。蘭はため息を吐いてスカートを絞る。その時だった。

「うわぁ!!びしょ濡れ〜!!」

その大きな声に蘭の耳がピクリと動く。顔を上げて相手を見た時、蘭の顔は酷く歪んだ。

(最悪。何で休みの日に……)

雨宿りをしに来たのは、蘭が最も会いたくないと思っている彰だった。彼の顔は驚き一色に染まっていた。