晴れのち雨。運命の人に出会うでしょう

「じゃあたかなしさんは俺の名前知ってるの?いつも名前で呼んでくれないじゃん」

彼の一言に蘭はため息を吐きたくなる。苦手なクラスメートの名前は知っていてもあまり呼びたくないのだ。

「……雨宮彰(あまみやあきら)くん」

蘭はそれだけを言うと自分の席へと戻る。彰は先ほど一緒にいた友達を追って廊下へと出て行った。教室が一気に静かになり、蘭は安堵の息を吐く。そんな彼女に他のクラスメートたちが話しかけてきた。

「あいつらいつもうるさいよね」

「スポーツ推薦がなかったらこの学校来られなかったくせに」

その言葉に蘭は同意する。蘭が通っているのはそれなりに名の知れた進学校だ。みんな勉強熱心である。教室で小学生のようにプロレスごっこをしてはしゃぐ生徒はほとんどいない。

彰は水泳部の部長だ。中学生の頃から県の大会で活躍し、推薦をもらったそうだ。勉強よりもスポーツの方が得意な彼は、テストでは毎回赤点ギリギリである。

(何であんなうるさいのと一緒のクラスになっちゃったの……)