ゼロくんと中学生社長

 ベッドに横になったまま、天井を眺める。
 眠い。
 めちゃくちゃ眠い。
 でも、目を閉じると1320円の数字が浮ぶーー。

「……こうしちゃいられない! まずはノートにやるべきことを書き出そう!」

 枕元のノートを引き寄せた。
 表紙には、零が小学校の修学旅行のお土産でくれた星のシールが貼ってある。
 ぷっくりした星の形を優しく撫でてノートを開く。

「九つ……だっけ」

 パパが入院してから、色々調べて私でもできそうなことを探していた。
 目標を真ん中に置いて、周りを埋めるやつ。
 有名な野球選手がやってた、あれ。
 正直、ちゃんとしたやり方は知らない。
 でも――。

「考えないよりは、マシだよね…」

 ノートの真ん中に、正方形を書いて縦に2本、横に2本、9つのコマができるように線を引く。
 真ん中に目標を書くんだよね…。

ーー赤字じゃないホテルにする

「赤字じゃなければ、とりあえず生き残れる」

 現実的すぎるけど、今はそれでいい。
 周りの八マスに「赤字じゃないホテルにする」を叶えるために必要なことを書く……。
 うーん。
 仰向けになって膝を抱える。
 右へ左へ、また右へと体をひねり、起き上がり小法師のように起き上がる。

「まずは“お客さん”だよね」

 右のマスに「お客さん」と埋める。
 そもそも誰に来てもらうかだ。
 家族?若い夫婦?老夫婦?彼氏彼女?
 全員に来てもらうのは難しいってことくらい私にもわかる。

ーーお客さんをしぼる、その人たちが来たい理由は?

 マスの外側の余白にメモをする。
 ひとつ埋めるだけでも考えて考えてこんな時間だ。
 あと、7つも埋めなきゃいけない。
 なんだか途方もない気がして、少し弱気になってしまう。
 穴だらけ。
 でも――。

「明日、みんなに相談しよう」

 そう決めた瞬間、急にまぶたが重くなった。
 旅館のことを考えながら、私はそのまま眠りに落ちた。