【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~

「信じてくれる仲間がいる」

 四人の顔を、一人ずつ見つめる。

 エリナ。ミーシャ。ルナ。シエル。

 昨日出会ったばかりの、大切な仲間たち。

「これは……奇跡だ……」

 その言葉が四人の胸に響く。奇跡なのは自分たちも同じなのだ。

 エリナの黒い瞳に涙が浮かび、肩を組む力が少し強くなった。

 この温もりを、離したくない。

 ミーシャの空色の瞳からも、涙が零れ落ちた。

 聖女の仮面ではなく、本物のミーシャ・ホーリーベルの涙。

 ルナの緋色の瞳も潤む。

 もう、離さない。

 この絆を、絶対に離さない。

 シエルの碧眼にも、涙が光っていた。

 それは、自由への喜びの涙だった。

 素敵な仲間と共に、自分の意志で戦場に向かおうとしている。

 結末がどうなろうとも、こんな幸せがあっていいのだろうか?

 レオンが、ギュッと目をつぶった。

「だから絶対に――」

 涙が、また溢れ出す。

 でも、もう拭わなかった。

 この涙は、恥ずかしいものじゃない。仲間への感謝と、未来への決意の涙だから。

「絶対にぃぃぃぃ!! 勝つ!!」

 魂の叫びが、朝の空気を震わせた。

 その声は、街中に響き渡っていく。

 逃げ惑う人々の足が、一瞬止まった。

「おぉ!」

 エリナが、応えた。

 肩を組んだまま、体を揺らして力を込める。

 低く、でも力強い声。

 五年間の孤独を乗り越えて、初めて仲間と交わす雄叫び。

「おぅ!」

 ミーシャの声。

 聖女の微笑みはどこにもない。

 初めて見せる、素顔の咆哮。

 腹の底から絞り出すような、本物の声。

「おー!」

 ルナが、涙声で叫んだ。

 小さな体から、大きな勇気が溢れ出す。

「おぉぉぉ!」

 シエルが、吼えた。

 それは、檻から解き放たれた鳥の、自由の歌だった。

 政略結婚という檻。

 「商品」という呪い。

 全てを振り払って、今、翼を広げる。

 五人が肩を組んだまま、体を揺らし始めた。

 右に、左に。

 リズミカルに、力強く。

 五つの体が、一つの生命体のように動いている。

「「「「「おぉぉぉ!」」」」」

 五つの声が、運命のように重なり合う。

 円陣が、大きく揺れる。

 五人の鼓動が、一つになっていく。

「アルカナぁぁぁぁ!」

 レオンが、魂を込めて叫んだ。

「ファイト!!」

「「「「「おぉぉぉぉ!!」」」」」

 五つの声が、一つになった。

 その声は朝日に満ちた空へと昇っていく。

 希望に満ちた空へ。

 通りすがりの人々が足を止め、逃げ惑っていた商人が振り返る。

 泣いていた子供が涙を止め、母親の服を掴んだまま大きな目で五人を見つめている。

 座り込んでいた老婆が、顔を上げた。

 疲れ切った目に、わずかな光が宿る。

 死にゆく街の中で五人の若者だけが、輝き、希望を放っていた。

 誓い合った五人の若者の姿は、まるで一つの生命体のように力強く、美しく輝く。

 肩を組み、涙を流し、それでも笑っている。

 怖いはずなのに、不安なはずなのに、それでも前を向いている。

 その姿が、見る者の心を打った。

「あれは……新人たちか……?」

 誰かが、囁いた。

「まさか、本当にスタンピードに……?」

 囁きが、波紋のように広がっていく。

 嘲笑ではなく、そこにあるのは、畏敬。

 そして、僅かな――本当に僅かな――希望。

 もしかしたら。

 もしかしたら、この若者たちが、奇跡を起こすかもしれない。

 そんな、馬鹿げた希望が、人々の心に芽生え始めていた。

 みんなの注目の中、五人は歩き始める。背筋をピンと伸ばして。

 涙の跡が、頬に残っている。

 でも、その顔には笑顔が浮かんでいた。

 五人の背中は、小さかった。

 まだ何も成し遂げていない、新人冒険者たち。

 でも、その影は朝日に照らされ、長く、大きく、街に伸びていた。

 まるで巨人のように力強く、堂々と。

 『アルカナ』の伝説の第一歩は、こうして刻まれた。

 肩を組んだ温もりと、溢れ出した涙と、そして、仲間への誓いと共に。

 五つの運命が、一つになった朝。

 それは、後に語り継がれる伝説の始まりだった。


      ◇


 その光景を、ギルドの窓から冒険者たちは息を呑んで見つめていた。

 つい先ほどまで嘲笑していた男たちの顔が、次第に歪んでいく。

 それは、複雑な感情が入り混じった、苦い表情だった。

 羨望。

 後悔。

 そして、自分自身への怒り。