カモフラなのに溺愛されても困ります!

いちいち、輝く笑みを向けるのやめてくれないかな……。

真っ直ぐ見れなくて、私はパッと顔をそむけた。

バッサリ切り捨ててるつもりなのに、全部拾ってきて、笑顔でしめるのやめて欲しい……。

偽りだと理解してるのに、免疫ないせいでドキドキするんだから。


「だから、楓も敬語はやめてね。それに、あの頃みたいに名前で呼んでくれると嬉しいんだけど」

「いえ、私は覚えていないので、そんな失礼な事できません」

「じゃあ、ゆっくりでいいよ。これから時間はいっぱいあるから」


ゆっくりでいい?!

時間はいっぱいある?!

……とても大迷惑な話なんですがっ!



車は一軒のイタリアンレストランに到着した。

高台にあり、テラス席もあって季節ごとに自然を楽しめるようなところだった。

敷地内に遊歩道もあり、見晴らしのいい展望台へと続いている。

人気があって、予約がなかなかとれないらしいけど……。

急に行く事になっても問題ないのは西園寺の力か。

彼が先に車をおりて、私に手を差し出す。

エスコートの仕方がスマートすぎて、どれだけ本命にやってんだよってツッコみたくなった。

車から降りて、すぐに手を離そうとしたけれど、なぜか彼はそのまま私の手をギュッと握りしめたので、引っ込められなくなる。

そのまま手を引かれて、店内へと入った。